交通事故で整骨院に転院・切り替えはできる?手続きの流れと注意点

2026.06.18 2026.06.28

交通事故のあと、「病院でのリハビリが合わない」「もっと通いやすい場所で施術を受けたい」と感じ、整骨院への転院を検討する方は少なくありません。結論からいえば、適切な手続きを踏めば転院は可能です。ただし、手続きを誤ると補償に影響が出たり、治療費が自費になるリスクもあります。

この記事では、転院を考え始めた時点で知っておくべき「手続きの流れ」と「注意点」を、ケース別に整理して解説します。(監修:後藤将之 柔道整復師 カイロプラクティック )

まず結論――整骨院への転院は「手続き次第」で可能

整骨院への転院・切り替えは、手続きを正しく踏めば可能です。転院を進めるうえで確認すべき3つの柱は以下のとおりです。

・現在の診断内容との整合性(整骨院での施術が医師の診断と矛盾しないこと)
・通院継続の見込み(自賠責保険の治療期間内に回復が見込めること)
・保険会社への連絡(転院先の整骨院と保険会社の担当者へ通知すること)

転院を後回しにするほど状況説明が難しくなります。検討し始めた時点で早めに動くことが重要です。

 

整形外科と整骨院の役割の違い

交通事故の治療において、整形外科と整骨院は役割が異なります。下の表で違いを整理してください。

 

項目 整形外科 整骨院
担当者 医師(専門医) 柔道整復師
主な役割 診断・画像検査・投薬 手技によるリハビリ・施術
施術内容 レントゲン・投薬・理学療法 徒手療法・テーピング・固定
保険適用 健康保険・自賠責保険 自賠責保険(交通事故時)
通院頻度目安 月1〜2回程度 週2〜4回程度

整形外科は「医師による診断」、整骨院は「柔道整復師による手技リハビリ」が主な役割です。整形外科で診断を受けながら整骨院でリハビリ施術を受ける「併院」という形が選択肢になることがあります。

併院を希望する場合は、双方の施術の目的と役割分担を明確にしたうえで、保険会社に事前相談することをおすすめします。

転院を検討する主なケース

1、通院しにくい・営業時間が合わない

仕事や家事の都合で現在の通院先に継続して通えない状況は、転院を検討する正当な理由になります。通院の空白期間が生じると補償の評価に影響する場合があるため、早めに転院先と保険会社の両方へ相談してください。

転院先に確認しておくべき事項:
・交通事故による施術に対応しているか
・受け入れ可能な曜日・時間帯
・初回通院に必要な書類・情報

2、施術内容・説明に不安がある

施術の目的や改善見込みが説明されないまま通院が続く場合は、まず現在の通院先に「この施術の目的は何か」「どの程度の期間が必要か」「症状が変化した際の対応方針は何か」を確認してください。確認しても改善されない場合は、転院を検討する根拠になります。

3、症状の改善が感じられない

数週間通院しても痛みや可動域に変化が見られない場合、施術方針の見直しや転院を検討するタイミングです。毎回の通院後に「痛みの強さ・可動域・日常動作への支障」を記録し、担当者に共有することが判断の助けになります。

*実際のところ、2は施術者のコミュニケーション能力の問題、3は症状によって難しいこともあります。ですので、「1、通院しにくい」という理由を保険会社に伝えることが多いと思います。

手続きの流れ

ステップ1――転院先の整骨院へ確認

まず、希望する整骨院が「交通事故による施術に対応しているか」を確認します。対応可能であれば、初回に必要な書類・情報・通院頻度の目安を聞いておきましょう。

ステップ2――保険会社へ連絡

転院前に保険会社の担当者へ、転院先の情報と理由を共有します。電話後は要点をメモし、次の連絡時に確認できる状態にしておくと安心です。

保険会社に伝える情報の整理順:

  1. 事故の概要(日時・場所・状況)
  2. 現在の通院先と診断・治療内容
  3. 転院を希望する理由(現在のところは通院時間が合わないなど)
  4. 転院先の情報(所在地・開始希望日・連絡先)
  5. 確認事項(必要書類・提出期限・費用の扱い)

ステップ3――転院後の通院継続

初回は問診・検査・事故との関連整理が中心です。施術の目的・期間・頻度を確認し、数回通院後は痛みの変化・可動域の改善度合いを施術者と共有してください。通院継続の判断は、通った回数ではなく症状の変化の有無で行うことが基本です。

補償・慰謝料への影響

転院そのものが慰謝料を減らすわけではない

「転院すると慰謝料が減る」と思い込み、必要な治療を先送りにするケースがあります。しかし、転院そのものが慰謝料額に直結するわけではありません。慰謝料はケガの程度・通院期間・通院実態などを総合的に評価して算定されます(自賠責保険基準では、通院期間と通院日数×2のいずれか少ない方の日数に日額4,300円を乗じる方式が基本です)。

転院後も適切な頻度で通院を続け、症状の経過を説明できる状態を維持することが、補償を守るうえで最も重要です。

補償トラブルを防ぐポイント

・事故由来の症状・痛みの部位・医師の診断内容を整骨院に正確に伝える
・通院頻度を自己判断で大きく変えない(変更が必要な場合は事前に保険会社へ相談)
・施術内容と症状の変化を毎回記録する
・説明なく通院を中断しない

よくある質問(FAQ)

Q. 保険会社に連絡せずに転院できますか?
A. 保険会社への事前連絡なしに転院した場合、治療費が自費になるリスクがあります。転院先の整骨院と保険の担当者へ連絡してください。
Q. 転院すると慰謝料は減りますか?
A. 転院そのものが慰謝料を減らす直接の原因にはなりません。ただし、通院の空白期間が生じたり、説明なく通院を中断した場合は評価に影響する可能性があります。
Q. 整形外科と整骨院を同時に通えますか?
A. 可能です。双方の役割分担を明確にしたうえで保険会社に連絡することが必要です。
Q. 転院先の整骨院はどうやって選べばよいですか?
A. 交通事故の施術実績があるか、柔道整復師が在籍しているか、通いやすい立地・時間帯かを確認したうえで、まず一度相談されることをおすすめします。
Q. 自賠責保険の治療期間はどれくらいですか?
A. 一般的におよそ3〜6か月とされています。症状の経過によって延長が認められる場合もあるため、保険会社に相談してください。

まとめ

・整骨院への転院・切り替えは、適切な手続きを踏めば可能
・転院前に「転院先整骨院・保険会社」の両方へ事前連絡することが原則
・整形外科との併院は役割分担を明確にし、保険会社に事前確認
・転院そのものが補償を減らすわけではないが、通院の空白期間・無断中断は影響する
・転院の繰り返しは症状の追跡を困難にし、説明に矛盾が生じやすくなる

転院を検討している方は、まず転院先の整骨院と保険会社に相談し、手続きを早めに進めることをおすすめします。当院(【整骨院来恩Lion】)でも、交通事故による症状の相談・転院に関するご質問をお受けしています。お気軽にご連絡ください。*当院では、症状によって、整形外科の紹介も承っております。

 

【関連記事リンク:交通事故後の整骨院の選び方|整形外科との違いと柔道整復師を見極めるポイント

参考文献

  1. 厚生労働省「柔道整復師の施術に係る療養費の取扱いについて」
  2. 国土交通省「自賠責保険制度の概要」
  3. 日本損害保険協会「自動車保険の基礎知識」
  4. 公益社団法人 日本柔道整復師会 公式資料
  5. 国土交通省「自動車損害賠償責任保険の慰謝料算定基準」