整体
整体について
はじめに
身体を改善すること。その指針が「整体」です。
いわゆる「健康法」と称される情報は世の中に数多くありますが、それと同じくらい——あるいはそれ以上に——自分の身体が感じ取る情報も大切です。
- 「自分の体重を、左右の足で均等に感じられているか」
- 「足・腹・頭で、自分の中心を感じられているか」
私たちの身体はさまざまなことを感じ取りながら、自分自身を操作しています。この「自分の操作」に問題が生じると「痛み・不調」として現れ、やがて「病」へと発展します。そして、「病」の前には必ず「兆し(きざし)」があります。
その兆しを適切に感じ取り、都度修正していくことが健康の維持です。さらに、その感覚と修正力を高めていくことが健康の増進です。これが身体を整えること——すなわち「整体」です。
「整体」とは、自分の身体のあり方を整え、自分自身を適切に操作することです。
それでは、整体の生理学的な側面も踏まえながら、詳しくご説明します。
1.整体とは
身体は神経によってコントロールされています。神経がバランスよく働くことで、身体全体を十分に使える状態になります。そして、自分が持つ身体機能を最大限に活用し、身体的・環境的な変化に適応できる状態に整えることが「整体」です。
私たちの「身体」も「環境」も、常に変化しています。変化に気づき、適応することで現状を維持できます。しかし、変化に気づかず同じ行動を繰り返すと、現実との乖離から「歪み」が生じます。
つまり、「歪み」は自然に発生するものではなく、変化への不適応から生まれます。
その不適応を知らせるサインが「痛み・不調」です。整体とは、身体と環境の変化を受け入れ、神経をバランスよく発達させることで、適切に社会活動を続けていくための養生法です。
2.神経は、人のすべての活動を統括する
「神経」というと「脳神経」や「運動神経」を思い浮かべがちですが、他者とのコミュニケーションや感情の交流も、神経によって行われています。
たとえば、幼い子供は難しい言葉を使わなくても、喜びや幸福感を分かち合うことができます。私たちが言語だけでなくさまざまな感情を共有し理解し合えるのは、神経そのものが互いに交流しているからです。
食事においても、腸と脳は神経を介して常に連絡を取り合っています。睡眠もまた、神経の活動によって調整されています。
このように、人のあらゆる活動は神経の活動です。 無数の神経がつながりを求め、その結びつきによってさまざまな働きが生まれます。
悪い神経の結びつきを断ち切り、良い結びつきを強化していくことで、身体は整えられていきます。
3.整体の土台をつくる、2つの捉え方
良い神経の結びつきをつくるために、次の2つの感覚を磨きます。
- 「自分の重さを、どのように感じているか」
- 「周囲の環境を、どのように捉えているか」
この2つの捉え方が、〈自分〉という存在の輪郭を形成しています。認識が適切であるほど、身体をうまく操作できます。反対に、認識があいまいだと、身体は思うように動いてくれません。
「どう感じているか」という身体感覚を正確にすることで自分の輪郭を明確にし、その上で「脳(意思)」で身体を統括する——つまり「動く」ことです。
意思した通りに身体が動く、その実感の積み重ねが、身体操作の精度を着実に高めていきます。
4.適切に動く
「適切に動く」とは、必要最低限の力で目的を達成することです。
たとえば「パソコン作業」の場合、「キーボードを打つ」という動作に必要な最低限の動きは、指の上下運動だけです。しかし、指だけでなく肩にも余分な力が入ってしまうと「肩こり」が起こります。「腰痛」も同じメカニズムです。
「立っているとき」「座っているとき」「作業をしているとき」——あらゆる状況で必要以上に力んでしまうことが、腰痛・肩こりの主な原因です。
「適切に動く」とは、以下の2つが実現されている状態です。
- 目的の動作に必要な最低限の力を感じ取る
- 実際にその力だけを使い続ける
5.適切な動作のために、適切な「姿勢」をつくる
動作を行うために必要な体勢を整えること、それが「姿勢」です。
たとえば「歩く」という動作は、進行方向へ身体を傾ける「重心移動」から始まります。その傾きに応じて足が自然に前に出ることで、前進が生まれます。「歩くのが速い人」とは、重心の傾きに合わせた足の運びが上手な人のことです。
「動く」とは、姿勢をつくることから始まります。
ボールを蹴るときも、軸足で片足立ちになります。その安定性が高いほど、蹴り足の力が引き出せます。引っ張る動作も、押す動作も、下半身が安定してこそ最大の力が発揮できます。
動作を適正にするために、姿勢をつくる身体操作の精度を高めることが大切です。当院では、まず姿勢をつくる筋肉を活性化させることから始めます。
※ 意思の力で強制的に姿勢をつくることもできますが、本来、姿勢は無意識下における身体操作です。これは自律神経の働きによってコントロールされています。
6.適切に感じる
「動作をする」とは、〈私〉を〈環境〉の中で動かすことです。
より正確に言えば、〈私と認識している存在〉を〈認識している環境〉の中で、動作の目的を遂行することです。
〈私〉という存在を正確に認識すること
足の形や手の形など、「自分」を構成している輪郭を正確に把握することです。動かす対象(自分自身)の認識が明瞭であるほど、動かし方(身体操作)の精度が上がります。
たとえば「人の動きをまねる」場面を考えてみましょう。仕事でもスポーツでも、イメージした通りに身体を動かすのはなかなか難しいものです。その主な理由は2つあります。
- イメージ自体ができていない
- 「自分の形」の認識にズレがあるため、意図と異なる動きになってしまう
〈認識している環境〉を正確に把握する
たとえば「歩き方」。雪道のような不安定な場所と、安定した平地では、自然と歩き方を変えますね。雪道では踏ん張り、歩幅を狭くして慎重に歩きます。
雪道で転んでしまう人は、「滑りやすい」という環境認識が浅かったのかもしれません。反対に、平地なのに踏ん張りながらゆっくり歩く人は、無意識に「不安定な場所」と認識してしまっているのかもしれません。
このように、〈認識している環境〉によって動作は変わります。
この「認識」は、意識的に考えているものではなく、身体が無意識に感知しているものです。たとえば三半規管は身体の水平性を感知する器官ですが、ここに問題が起きると「水平」が分からなくなります——それが「めまい」です。
三半規管に限らず、身体全体が自分の形や置かれた環境を感じ取り、動き方を決めています。その感じ方に問題があれば、動作に乱れが生じ、「痛み・不調・怪我」につながります。
7.まとめ
〈私〉という存在や〈周囲の環境〉をどのように「認識」しているかによって、動作は変わります。
認識が適切であるほど動作は安定し、身体の不具合は起きにくくなります。
たとえば、右足と左足で重心の取り方が異なると、中心軸が安定しません。すると動作が不安定になり、身体はその不安定を回避しようとして「緊張」します。こうして身体の不調が生まれます。
8.正確に情報を集め、意思をもって〈自分〉を前進させる
不調のない子供たちは、適切な認識をしています。右で感じたもの・左で感じたものを、それぞれ正確に受け取ることができているのです。だからこそ、適切な動作を自然に選択できます。
私たちの「身体」と「環境」は常に変化しています。その変化を感じ取り、適応し続けることで健全さが保たれます。反対に、変化を感じ取れず同じ反応を繰り返すと、ずれた結果が生まれ——それが「不調」として現れます。
「整体」とは、「自己の存在」と「自分の置かれた環境」を適切に把握し、適応し、意思をもって行動することです。
意思をもって行動するとき、「脳」がすべてを統括し、身体は本来の健全な働きを取り戻します。
当院では、神経の検査を通じて、あなたが自分の身体をどのように認識しているかを一緒に確かめていきます。

