整体
<整体>
はじめに
1、整体とは
2、神経は人の活動全てを統括する
3、整体の土台をつくる2つの捉え方
4、適切に動く
5、適切な動作の為に、適切な「姿勢」をつくる
6、適切に感じる
7、まとめ
8、正確に情報を集め、意思をもって<自分>を前進させる
はじめに
身体を改善すること。その指針が「整体」です。
いわゆる「健康法」と称される情報は山ほどありますが、それと同じくらい、或いはそれ以上に自分の身体が感じ取る情報も大切です。
「自分の体重を左右の足で均等に感じているのか」
「足・腹・頭で自分の中心を感じているのか」
私たちの身体は様々な事を感じ取り、必要に応じて、必要な力を使い、自分の身体を操作しています。「自分の操作」に問題が生じると「痛み・不調」に変わり、やがて「病」へと変化します。
「病」の前には「兆し(きざし)」があります。自分の身体が何か問題を感じているのです。
その兆しを適切に感じ取り、適宜修正していくことが健康の維持につながり、その感覚や修正力をつけていくことが健康の増進になります。これが身体を整えていくことであり「整体」というものです。
言い換えると「整体」は、自分の身体の在り方を整え、自分を適切に操作するものです。
それでは、「整体」の生理学的な側面などを踏まえてご紹介したいと思います。
1、整体とは
身体は神経によってコントロールされているので、神経がバランス良く働くことで全体が使える状態になります。そして、自分が持つ身体機能を十分に活用し、身体的・環境的変化に適応できる状態に整えることが整体です。
私たちの「身体」や「環境」は常に変化しています。変化に気づき、適応していくことで現状を維持できます。しかし、変化に気づかず同じ行動をし続けると、現状との乖離から歪みが生じます。
つまり、「歪み」は自然発生的に起こるものではなく、変化への不適応から起こります。
変化への不適応性を報せる感覚が、「痛み・不調」でもあります。整体とは、身体や環境の変化を受け入れ、神経をバランスよく発達させることで、適切に社会活動を続けていく為の養生法です
2、神経は人の活動すべてを統括する
「神経」は、「脳神経」や「運動神経」だけでなく、コミュニケーションなどの「交流」も神経によって行われるものがあります。
例えば、子供などは難しい言葉を介さなくても喜びや幸福感を分かち合うことができます。
私たちは言語理解だけでは無く、様々な感情を共有し理解し合うことができるのは、神経自体が交流しているからです。
食事も同様に、腸と脳が神経を介して連絡しています。さらに、睡眠も神経の活動によるものです。
このように人の活動は、全て神経の活動です。無数の「神経」がつながりを求め、その神経同士の結びつきによって様々な働きが生まれます。
悪しき神経の結びつきは断ち切り、良い結びつきは強化していくことで、身体は整えられていきます。
3、「整体」の土台をつくる2つの捉え方
良い神経の結びつきをつくる為に、以下の2つの要素を強化します
「自分は、自分の重さをどのように捉えているのか」
「自分は、周囲の環境をどのように捉えているのか」
この2つの捉え方で、自分の輪郭を明らかにしています。そして、この認識が適切であるほど、適切な身体操作がしやすくなります。逆に、認識があいまいであると、身体が思う様に動いてくれません。
「どう捉えているか」という身体の感覚を適切にしていくことで自分の輪郭を明確にしていきます。その上で、自分の「脳(意思)」で身体を統括することです。つまり「動く」ことです。
実感を伴う行動、自分の身体が意思の通りに機能するという体感覚の積み重ねが、身体操作の精度を上げます。
4、適切に動く
適切に動くとは、「自分」の操作を上手くするということで、必要最低限の出力(力の出し方)で目的を達成することです。
例えば、「パソコン作業」などの場合
「キーボードを打つ」という動作の必要最低限の出力は、指の上下運動です。
しかし、指だけではなく肩にも無駄な力を入れてしまうと「肩こり」を起こします。「腰痛」なども同じメカニズムです。無駄な力が入ってしまっているのです。
「立っている時」「座っている時」「作業をしている時」、様々な状況下で必要以上に力をいれてしまっていることが「腰痛」「肩こり」の主な原因です。
・目的の動作をするためには最低何%の力が必要かを感じ取る
・実際にその最低限の力を出し続ける
「適切に動く」とは、これら2つが達成されているということです。
5、適切な動作の為に、適切な「姿勢」をつくる
動作するために必要な体制づくりが「姿勢」です。
例えば、
「歩く」という動作は、進行方向に身体を倒す「重心移動」から始まります。身体の傾きに応じて足が自然に前に出ることで、前進しています。
「歩くことが早い」とは「身体を傾きに応じた足の運びが上手い」ということです。
基本原則として、「動く」とは「姿勢づくり」から始まります。
ボールを蹴る時も、蹴らない方の足で片足立ちになります。その安定性が高いほど、蹴り足の力を引き出すことが出来ます。引っ張る動作も、押す動作も、下半身が安定してこそ、最大の力を発揮出来ます。
動作を適正にするために、姿勢をつくる身体操作の精度を高くすることが大切です。当院では、姿勢をつくる筋肉を活動させることから始めていきます。
*意思の力によって、姿勢を強制的につくることも出来ますが、基本的に姿勢は無意識下における身体操作です。これは自律神経の働きでコントロールされます。
6、適切に感じる
「動作をする」とは、<私>を<環境>の中で動かすこと。
正確に言うと、<私と認識している存在>を<認識している環境>の中で、動作の目的を遂行することです。
一つ一つ解像度を上げていきますと、
<私>と認識している存在
足の形や手の形など、「自分」を構成している輪郭の認識です。
動かす対象(<私>という存在)が明瞭であるほど、動かし方(身体操作)の精度が上がります。
例えば、「同じようにマネる」
仕事やスポーツでも、自分のイメージした通りに動くことができるか?というと、なかなか出来ないですね。その理由は大きく分けると2通りです
・イメージが出来ない。
・「自分の形」に認識の歪みがあるから、違う動きになってしまう。
この二つです。
<認識している環境>
例えば、「歩き方」
足を踏み入れる環境が雪道などの不安定な所と、安定した平地では歩き方を変えます。
雪道では、転ばないように踏ん張り、歩幅を狭くして歩きます。
雪道で転んでしまう人は、<滑りやすい所>という認識が浅かったのかもしれません。
逆に平地なのに、踏ん張りながらゆっくり歩く人は、<不安定な所>という認識をしているのかもしれません。
このように、自分が<認識している環境>によって、動作が変わります。
この<認識>とは、意識的に認知している感覚ではなく、身体が認知しているものです。
例えば、三半規管は身体を水平性などを感知する器官ですが、ここが問題を起こせば「水平」が分からなくなってしまう訳です。これが「めまい」です。
このように、三半規管だけではなく身体全体が、自分の形や自分の置かれた環境を感じ取り、動かし方を決めています。
その感じ方に問題があれば、動作に問題を起こし「痛み・不調・怪我」を生みます。
7、まとめ
<私>という存在や<周囲の環境>も、どのような「認識」をしているかによって、動作が変わってしまいます。
認識が適切なほど、動作が安定し、身体の不具合は起こしません。
例えば、右足と左足で重心の取り方が違えば、中心軸が安定しない訳です。すると、やはり動作が安定しません。身体は不安定な状態を回避する為に「緊張」しようとします。このようにして身体の不調は起こります。
8、正確に情報を集め、意思をもって<自分>を前進させる
幼稚園児など不調がない人は、適切な認識をしています。右で感じたモノ・左で感じたモノ、それぞれ適切に感じているのです。
故に、適切な動作を選択出来るのです。
私たちの「身体」と「環境」は常に変化していますので、その変化を感じ取り適応していくことで健全性が保たれます。
その変化を感じ取ることが出来ず、同じ反応をしていると、違う結果が生まれてしまいます。これが不調となって現れます。
「整体」とは、「自己の存在」と「自分の置かれた環境」を適切に把握し、適応し、意思を持って行動を起こすことです。
意思を持って行動を起こすことで「脳」がすべてを統括し、健全な働きが完成します。
当院では、ご自身が自分の身体をどのように認識しているのか、神経の検査を通して明らかにしていきます。